現代の子育てでは避けて通れない、
スマホ・タブレット・テレビなどのデジタルコンテンツとの付き合い方。
どうしても知育アプリや動画に助けてもらうことはありますし、飛行機や長時間の移動では「タブレットがあってよかった……!」と思うこともあります。
だからこそ気になるのが、「便利に使いつつ、子どもにとって無理のない付き合い方は?」というところ。
2026年1月に米国小児科学会(AAP)が、子どもを取り巻くデジタル環境について新しいポリシーステートメントを発表しました。
今回の提言で特徴的なのは、単純に「スクリーンタイムを○時間以内にしましょう」とするのではなく、
- どんなコンテンツを見るか
- いつ使うか
- 何をする時間と置き換わっているか
- 子ども専用端末をいつ持たせるか
- 親子でどんなルールを作るか
など、家庭の生活全体からデジタルとの付き合い方を考えていることです。
この記事では、AAPの子ども・家庭向けの提言をもとに、家庭で意識したいポイントを分かりやすくまとめました。
Serena現代の子どもに関わるすべての方、必見の内容です!
米国小児科学会の最新提言|子どものデジタル利用で意識したいこと

米国小児科学会(AAP)は今回、子どもとデジタルメディアの問題を、単なる「画面を見る時間」だけでは捉えていません。
今のデジタル環境には、
- 自動再生
- おすすめアルゴリズム
- 広告
- アプリ内報酬
- 無限スクロール
など、つい長く使いたくなる仕組みそのものが組み込まれています。
そのため、「子どもが見たがるから、親が止めればいい」と家庭だけの責任にするのではなく、子どもを取り巻くデジタル環境や、コンテンツの設計そのものも含めて考える必要があるというのが今回の大きな考え方です。
そのうえでAAPは、保育者・家庭・メディア・行政のそれぞれに向けて、具体的な提言をしています。
Serena今回は、家庭向けの12の提言を見ていきます◎
1.時間だけでなく、「良質な」コンテンツを選ぶ
まず大切なのが、「何を見るか」ということ。
AAPは、子どもに与えるコンテンツの質を重視しており、
質の高い子ども向けコンテンツの特徴として、次のような点を挙げています。
- 社会性・感情面のスキルを扱っている
- 算数や読み書きなど明確な学習目標がある
- 自由な遊びの要素がある
- 考える力を促す
- 子どもの発達段階を考えて設計されている
一方で注意したいのが、次のようなコンテンツです。
- 頻繁に報酬がもらえる
- 広告が多い
- 必要以上に刺激的な演出がある
- インタラクティブな仕掛けが多すぎる
- 怖い・暴力的な内容を含む
また、ビデオ通話のように、画面越しでも相手と双方向にやり取りできるものは、子どもにとって社会的な交流の機会にもなり得るとしています。
2.スクリーンタイムは「何時間まで?」だけで決めない
やはり気になるのが、「結局、何時間ならいいの?」ということ。
AAPは今回、すべての家庭に当てはまる絶対的な時間制限を示すのではなく、家庭の生活や子どもの年齢に合わせて考えることを勧めています。
具体的な目安を求める家庭には、
- 幼児・未就学児:1時間未満程度/日
- 学童期以降:学業以外の娯楽目的のメディアは1〜2時間程度/日
という範囲を検討できるとしています。
ただし、一番重要なのは時間そのものではなく、睡眠・遊び・運動・読書・家族との時間がきちんと確保されているかということ。
3.乳幼児だからといって「一瞬でも見せたらダメ」ではない
特に幼い乳幼児のスクリーン利用は、親として特に悩むところ。
AAPは、乳児にとってデジタルメディアは主要な学習手段にはなりにくいとしています。
一方で、「短時間、質の高い動画を時々見ること自体が有害というわけではない」とも述べています。
4.家族みんなで「スクリーンを使わない時間」を作る
子どもだけに「スマホはダメ!」と言いながら、親がずっとスマートフォンを見ている、なんてことはよくありますよね…。
AAPでは、子どもだけでなく家族全体でスクリーンフリーの時間・場所を作ることを勧めています。
具体的には、食事中・寝室・就寝1時間前・宿題中など。
さらに、次のようなことも挙げています。
- 同時に複数の画面を使わない
- 見ていないテレビは消す
5.寝る1時間前はスクリーンを避ける
AAPが明確に勧めているのが、睡眠を守ること。
就寝前1時間はスクリーンを避け、寝室には端末を置かないよう提言しています。
スマートフォンなどでは「おやすみモード」「Do Not Disturb」などを利用し、夜間の通知も切っておくことを勧めています。
動画を見ながら寝る習慣がある場合には、静かな音楽・サウンドマシン・瞑想・リラックス系の音声などに置き換えることも選択肢として紹介されています。
6.タブレットを「子ども専用」にするのは急がなくてもいい
今回、興味深かったのがタブレットについての提言。
AAPは、個人用タブレットは基本的に一人で使うことを前提に設計されているため、親が内容を把握したり、一緒に楽しんだりしにくくなると指摘しています。
そのため、子ども専用ではなく、家族共用のタブレットを使うという方法を提案しています。
専用端末を検討するときには、以下のことを考慮することを推奨しています。
- スクリーンを終了するときに切り替えられるか
- 親が決めたルールを守れるか
- 親自身がルールを一貫して設定できるか
- アカウントやプライバシー設定を管理できるか
7.飛行機や長距離移動でタブレットを使うのはOK?

子連れ旅行で気になるポイント。
AAPは、以下のような場面などで一時的にタブレットを利用することは適切な場合があるとしています。
- 長距離ドライブ
- 飛行機
- 負担の大きい医療処置
これは子育て家庭には、ちょっと安心する内容ですよね。
8.デジタルを減らすより「ほかの楽しいことを増やす」
AAPが提案している面白い考え方が、「Crowd in」です。
デジタルを単純に取り上げるのではなく、スポーツ・音楽・アート・外遊び・ボランティア・読書など、リアルな活動を生活にたくさん入れていく。
そうすると、結果としてデジタルに使う時間が押し出されていきます。
工作や読書、ボードゲーム、自転車、公園遊び、自然探索など…。
スクリーンを減らすことではなく、リアルな世界を楽しくすることが大切という考え方です。
9.ペアレンタルコントロールを使う
子どもが自分で端末を操作するようになったら、親の目だけで管理するのは難しくなってきます。
AAPは、以下の項目について、端末やサービスのペアレンタルコントロール機能を活用することを勧めています。
- 利用時間
- アプリのダウンロード
- 連絡先
- 購入
- コンテンツ
スマートフォンやタブレットだけでなく、Wi-Fiルーター・ゲーム機・SNS・学校支給端末などにも設定できる場合があります。
10.初めてのスマホは「○歳」が正解ではない
何歳からスマートフォンを持たせるべきか。
AAPは、スマホを持たせるのに適した特定の年齢を示す研究結果はないとしています。
代わりに見るのが、以下のような点です。
- 子ども本人にデジタルリテラシーがあるか
- 親に正直に話せるか
- SNSなどでの人間関係のトラブルに対応できるか
- 生活上、本当に必要か
また、いきなりフル機能のスマートフォンを渡す必要もありません。
11.小さい頃から「デジタルリテラシー」を育てる
年齢が上がるほど重要になるのが、デジタルの世界について親子で話すこと。
AAPは、例えば以下のようなテーマについて、繰り返し話すことを勧めています。
- これは広告なのか?
- ネットで公開してよい情報・ダメな情報は何か?
- SNSの写真は現実そのものなのか?(ボディイメージ)
- 取り残されることへの不安とは何か?(FOMO:Fear Of Missing Out)
- 一度ネットに投稿したものはどうなるのか?(デジタルタトゥー)
12.親子関係そのものが、デジタルとの付き合い方の土台

そして最後にAAPが重視しているのが、親子の関係性。
日頃から話を聞いてもらえる、困ったことがあれば相談できる。
そんな関係があることで、
- スクリーン利用のルールを守る
- ネットで見たものについて相談する
- トラブルが起きた時に助けを求める
ことにつながります。
また、一緒に動画を見たり、一緒にゲームをしたりする共同利用(joint media engagement)も、単なる監視ではなく親子のコミュニケーションや学びにつながる可能性があります。
学童期以降は「ネット上の安全」についても話しておく
子どもが成長すると、デジタル上のリスクも変わります。
AAPは年齢に応じて、以下についてオープンに話せる環境を作ることも勧めています。
- 不適切な性的コンテンツ
- 性的な画像の送受信
- ネット上の個人情報
- 差別的・怖いコンテンツ
- 自傷や摂食障害に関連したコンテンツ
「絶対見てはいけない」と禁止するだけでは、万一遭遇した時に相談しにくくなることも。
家族で「メディアルール」を作ってみる
AAPでは、家族でデジタル利用について話し合うためのFamily Media Plan(ファミリーメディアプラン)も提供しています。
難しいルールをたくさん作る必要はなく、例えば乳幼児家庭ならこのくらいでも十分、家庭の方針になります。
- 食事中はテレビを消す
- 寝る前1時間は画面を見ない
- タブレットは家族共用
- 見る動画は親が選ぶ
- 長距離移動では柔軟に使う
- 公園・絵本・遊びの時間を先に確保する
まとめ
AAPの最新提言を読むと、子どものデジタル利用について、「何分までならOK?」だけでは答えが出ないことがよく分かります。
家庭で大切にしたいのは、次のようなこと。
- 質のよいコンテンツを選ぶ
- 睡眠・遊び・運動・読書を優先する
- 食事中や寝る前はスクリーンから離れる
- 子ども専用端末を急いで持たせない
- 必要な場面では柔軟にタブレットを使う
- 親も一緒にデジタルルールを守る
- 親子でコンテンツについて話す
- 年齢に応じてデジタルリテラシーを育てる
子どもたちはこれから、私たち以上にデジタルが当たり前の世界で育っていきます。
すべてのスクリーンから遠ざけることよりも、「必要な時には便利に使い、自分で離れることもできる」。そんな付き合い方を少しずつ身につけていくことの方が大切なのかもしれません。
Serenaわが家も、子どもと一緒にこれからもデジタルとの距離を考えていきたいと思います。
参考文献
American Academy of Pediatrics.“Digital Ecosystems, Children, and Adolescents: Policy Statement.”Pediatrics. 2026;157(2):e2025075320.(原文を読む)
※本記事は、米国小児科学会(AAP)が2026年に発表した上記の提言のうち、子ども・10代・家庭向けの内容をもとに一般家庭向けに整理したものです。AAPは米国の専門家団体であり、本記事は日本国内の公的ガイドラインを示すものではありません。また、個々の子どもの発達や家庭状況によって適切なデジタルメディアの利用方法は異なります。

